点検整備記録簿の記入記号の意味と使い分け

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点検整備記録簿を前にして最初に止まるのが、点検結果の欄に何を書けばいいのか、という点だと思います。「レ」だけでいいのか、部品を替えたときはどうするのか、装置が付いていない項目はどうするのか。ここを整理します。

まず前提:記号は法令で決まっているものではありません

先に押さえておきたいことがあります。

点検整備記録簿の様式は、法令では定められていません。

法令が定めているのは「記載すべき事項」だけです。道路運送車両法第49条と自動車点検基準第4条が、何を書くかを定めています。用紙の形も、記入に使う記号も、法令には出てきません。

では、あの記号は何なのか。運輸支局や自動車整備振興会などが配布している記録簿の様式に、記載要領として印刷されているものです。事実上どこの様式でも同じ記号が使われているので、実務上の共通ルールとして機能しています。

このことは、実際に書くうえで2つの意味を持ちます。

  • 手元の様式に印刷されている凡例が、その様式では正です。ここで説明する内容と食い違ったら、様式の凡例に従ってください
  • 記号そのものよりも、法定の記載事項が埋まっているかのほうが本質です

記号の一覧

記号 意味 使う場面
点検の結果、異状なし 点検して問題がなかった
× 交換 部品や油脂、液類を交換した
修理 摩耗や損傷のあった部品を修復した
A 調整 遊び、すき間、角度などを基準値に戻した
T 締付 緩んでいた箇所を増し締めした
C 清掃 粉じんや油などの汚れを取り除いた
L 給油 油脂や液類を補給した
P 省略 自動車点検基準により行わないことができる項目
該当なし その装置が付いていない

様式によっては、分解を表す「○」が凡例に含まれているものもあります。手元の様式の凡例を確認してください。

つまずきやすいところ

「レ」と処置の記号は、役割が違います

「レ」は点検の結果を表す記号です。

「×」「△」「A」「T」「C」「L」は、点検の結果として行った処置を表す記号です。

  • 点検して異状がなかった →
  • 点検して異状があり、部品を交換した → ×
  • 点検して異状があり、調整した → A

異状があって処置をしたときに「レ」を併記するかどうかは様式によります。凡例を確認してください。

「/」は装置が付いていないとき

たとえばパワーステアリングが付いていない車の「パワー・ステアリング装置のベルトの緩み及び損傷」、マニュアル車ではない車の「クラッチのペダルの遊び」。こうした項目は、点検していないのではなく、点検の対象そのものが存在しません

空欄のままにすると「点検し忘れたのか、装置がないのか」が判別できません。「/」を書くことで、その項目が自分の車には該当しないことが記録として残ります。

「P」は省略できる項目に使います

自動車点検基準には、一定の条件のもとで実施を省略できる項目が定められています。条件に当てはまって省略した項目に「P」を書きます。

これは点検をサボったという意味ではなく、基準が省略を認めている項目を、認められた範囲で省略したという記録です。逆に、条件に当てはまらない項目に「P」を書くと、事実と異なる記録になります。

何を書くかより先に、何を書かないといけないか

記号の使い分けで迷うのは自然なことですが、記録簿として成立するために必要なのは、自動車点検基準第4条が定める記載事項が埋まっていることです。

  • 登録番号(または車両番号、車台番号)
  • 点検または特定整備の時の総走行距離
  • 点検または整備を実施した者の氏名または名称および住所

このほか、点検の年月日、点検の結果、整備の概要、整備を完了した年月日を記載します。

当サイトの点検整備記録簿 作成ツールは、車両の条件(パワーステアリングの有無、マニュアル車かどうかなど)を選ぶと、「/」を付けるべき項目と「P」を使える項目を自動で判定します。入力内容はブラウザの外に出ません。

関連する解説

根拠

  • 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第49条
  • 自動車点検基準(昭和26年運輸省令第70号)第4条